革ジャンが好きだ。
とりわけ、いわゆる“ ライダース ”には特別な思い入れがある。
大学生になり、中高6年間着続けた学生服とオサラバした時、考えてみれば毎日着たいと思える服は『 ライダースとGパン 』しか無かった。故に大学時代は、他の服になんて殆ど袖を通した事が無い。一年中、『 618と517 』、コレである。
俗に“ Wのライダース ”なんて言葉があるが、あれには正直納得がいかない。あくまで個人的な意見だが、袷が深く着丈の短い、あのカタチこそが“ ライダース ”なのであって、よく対の様に語られる“ シングルライダース ”という言葉がそもそも有り得ないと思うワケである。それには“ レーシングジャケット ”や、旧くは“ レザーシャツ ”なんていう固有の呼び名がちゃんとある。
ここ数年、部屋が随分と手狭に感じる様になり、気が付けばその遠因?たる革ジャンも40着をゆうに超えていた。しかも、袖口にジッパーが付いた、似た様なヤツばっかりがズラリ。その中でも独特の雰囲気があり、なかなかカッコイイと思うのが以下に挙げる3着。


一つは、Buco(Joseph Buegeleisen Co.)ビューコの’50s製J−82。
自分は別に“ 旧い物好き ”ではないので、Dポケットのライダースがあまり好きじゃない。これはビューコの代表作たるJ−21に対しても同様だし、そもそも“ Buco ”というブランド自体に実はそれほど興味が無い。
だが、このJ−82だけは何となく気に入っている。デザイン上ではウォッチポケットが無い事や、カマボコ型スタッズも効いているのだろうが、恐らく自分的にはライニングがナイロンキルティングなのが大きいと思う。チェックのウールライニングは、どうにも古臭過ぎて好きになれない。
それに、コレは他のブランドではあまり見掛けないカタチで、どことなくソリッドな、独特の魅力を感じる。


次に、ラングリッツレザーのコロンビア。
これまた批判めいた言葉から始まってしまうのだが、自分はラングリッツが特別好きなワケではない。その割には何着か持っているが。個人的にはキャスケードの方が好きで、現に所有もしているが、“ ライダース ”らしさではコロンビアに軍配が上がる。
ただ、いかんせんコロンビアの襟のカタチが、近年のも昔のもあまり好みでない。そこで、ある意味イイとこ取り的な?コサックカラーのコロンビアが、自分にとっては居心地が良い。重ね着を考慮したあまりタイトでないフィッティングも、ファッションに傾倒しない道具らしさを匂わせて好感が持てる。


最後の一つは、何と言っても黒タグのショット・ワンスター。
自分にとっては、地球上のあらゆる衣類の中で最も特別なオーラを放っている一着である。
ワンスターは何着か持っているが、中でも画像の個体は一番カッコイイ。と思う。元来『 カッコイイ 』に理由など無いので、ワンスターに関してはあまり言う事も無いが、このペラッとした質感と、何て事の無いカタチはmotoの脳内にある“ アメリカ ”のイメージそのもの。個人的には、あまりゴツイ革ジャンは好きじゃない。


と、ここまで散々別の“ ライダース ”の事ばかり書いてきたのだが、もし何らかの事情で一着しか手元に残せない、という事態になったら、迷わず選ぶのはコレだろう。何の変哲も無い’80sのショット618。かれこれ約20年の付き合いになる、自分にとって最初の“ ライダース ”。実はコレが一番好きである。
別に自分は『 良い物 』が好きなワケじゃないし、『 究極の 』なんてコトバに擽られるワケでもない。まして『 人と違う 』や『 高級品 』が好きなワケでもない。どちらかと言えばありふれた(若しくは、かつてはありふれていた)、奇をてらわないモノが好きである。
革ジャン“ マニア ”の中には『 ’50s以前の馬革に限る 』みたいな感じの事を言う人も少なからず居るが、自分にはそういう嗜好が全く無いので今一つ理解出来ない。自分は”マニア”ではないからかも知れないが。
他の人はどうか解らないが、motoの場合『 カッコイイ 』と『 好き 』が必ずしも一致しない。『 カッコイイ 』と思うモノは沢山あるが、心底『 好き 』になれるモノは少ない。むしろ、自分の好きになるモノは到底カッコ良くないモノである事もしばしば。まあ革ジャンはブランド物の鞄や財布とは違うので、『 誰もが認める 』より、『 自分が気に入った 』モノが一番なのでは無かろうか。



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