4.MAY.’16


5月4日、朝。ひんやりとした山間の空気に包まれて、寝覚めのコーヒーを飲む。鳥たちのさえずりと葉擦れの音が心地好い。
ここは東京から片道2時間ほどの長野県内某所にある、親族ゆかりの場所。標高が高く、この時期でも朝晩の気温が0℃前後になる土地柄なので、ここぞとばかりにペンドルトン白タグのニットが活躍する。ペンドルトンやらフィルソンやらのウール製ヘビーアウターは昔から好きなので結構所蔵してはいるのだが、やや保温性があり過ぎて(笑)、都内では例え真冬でも登板の機会が滅多に無い。キャンプツーリングなどには大抵革ジャンで行ってしまうし・・・この手の野趣溢れる服には、こんなシチュエーションでのみようやく陽の目を見させてやる事ができる。

・・・と、この場所にはその様な美点?も数々あるのだが、それらと引き換えに屋根掃除やらスズメバチ退治、網戸張り替え、軒天補修など、訪れる度に必ず何かしらの種々雑多な労務を背負う羽目になる。


で、今回の工務はこれである。かれこれ10年ほど前に造ったウッドデッキだが、手摺り以外は安価な材で組んだので雨ざらしの階段部分が朽ちてしまい、崩落寸前の危険な状態となっていた。当時の材料がまだ若干残っていた筈なので、それを有効活用して酷い部分のみ必要最小限を修繕する事とする。


さて、前述の通り『 必要最小限 』な延命策の心積もりで着手したのだが、支柱として地中に打ち込んであった丸杭が朽ちてかなり脆くなっている。これを打ち替えるべく解体しだすと周りの劣化も予想以上に烈しく、1段目にいたっては結局完全に壊れてしまった。壊してしまったからには直さざるを得ないので、取り急ぎ頭の中で施工図を描く。


まあ、雨ざらしの場所に向いた材料とは言い難い。スタンプも記憶も不鮮明で判然としないが、恐らくはカナダBC州辺りからやってきたSPF材なのだろう。既存と同じ寸法に刻み、クレオソートを塗る。防腐剤を塗ったところで現にこうして腐ってしまっているワケだが、とりあえず有り物で直すほかないので、より念入りに塗る。


踊り場部分は出来れば5枚ほど張り替えたかったのだが、この寸法を取れる材が3枚しか無かったので、一先ずそれで妥協する。張り替えられなかった部分の下には、4×4の角で束を立てておいた。


続いて1段目に取り掛かるが、直に杭を打つとまた数年後には確実に朽ちてしまうので、簡単に基礎を作る事にする。土をやや深く掘り下げ、踏み締めた上にそこら辺で集めてきた小石や砂利を敷き、湿らせて再度踏み締める。あとはひたすら練った生コンを流し込み、表面を均す。


何に使ったのか全く思い出せないセランガンバツのデッキ材が少しあったので、踏板にはこれを使う事にした。この樹種ならそう簡単に腐らないしね。個人的には、ウッドデッキ材と言えばこういうリブ加工のヤツがイメージである。アメリカっぽさを重視するならやはりレッドシダーに限るとも思うが、くどいながらも有り物で直すほかないので・・・


1段目の骨組を粗方こさえた頃には辺りも暗くなりはじめ、捨てコンもまだ固まらないので本日の作業は打ち切り。あまり進んだ気がしないが、昼過ぎから着手して、ある材料でどう足らすかを考えながらの作業なので、まあこんなものだろうか・・・

山間の夜は静かなので、騒々しいエンジン音を轟かせるのも気が退ける。ストーブの炎の傍らでハムとチーズをかじりながら、御当地ビールなんかを呷りつつ夜は更けてゆく。


5月5日、朝。夕方には東京に向け発たねばならないので、今日はあまり作業時間が無い。
取り敢えず湿気の多い地表から木部を極力遠ざけたかったので、捨てコンの上に薄くモルタルを流してブロックを敷き、ざっと水平を出して基礎とした。そのブロックと木材の間に基礎パッキン代わりのゴム板を噛ませて束を立て、プレート金物と鎹で固定する。
ここまで来ればもう後はほぼ踏板を載せるだけだが、幕板の材料が足りない事に気付く。無ければ無いで構わないとも思ったのだが、周りとの整合性が取れなくなるので、燃やすつもりだった廃材を再塗装して使う事にする。


幕板は留め加工したかったのだが、時間の都合で突き付け納まりとした。それよりもブロック部分が見えてしまうのが気に入らないので、補強も兼ねて若干埋め戻ししたかったのだが、今朝流したモルタルがまだ半乾きなのでこれは次回訪問時に譲る。って、次回はいつになる事やら・・・


まあ木工、土工やDIYは嫌いじゃないので苦にはならない。とは言え本職でもなければ設計の才に長けているワケでもないので、作業効率はそれほど良くはない。やはり最終的には自らの手でコレを建てたいと思っているのだが、それこそいつになる事やら・・・



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