23-24.NOV.’13


11月23日、6:20pm。せめて陽のあるうちに東京を発ちたいとは思っていたのだが、結局はこうしてライトアップされた東京タワーを見上げている。秋の日はつるべ落とし、とはよく言ったものだ。今頃、仲間達は既にほろ酔い加減で火を囲んでいるに違いあるまい。今回のキャンプは近場なので、途中給油無しで充分行けるだろう。CRタンクを一先ずハイオク満タンにして、とっぷりと暮れた首都高C1へと駆け上る。


3号線で想定外の混雑に遭った以外、東名・厚木ICを降りるまでは概ね順調であった。しかしここから先の頼りは、遊興施設のホームページにありがちな簡素な案内図のみ。別に迷う様な道でもないのだが、肝心要な施設周辺の目印となる物は乏しく、所要時間、距離等の情報も一切無い。漠然と想像していたよりもその道程は長く、疾走るにつれ人影は消え、擦れ違うクルマも疎らとなってゆく。

7:45pm。まだ宵の口とは思えない山間の暗さと静けさに、ついに道端で一旦停車する。大した役には立たない案内図を再度確認すべくケータイを取り出すと、ホンの数分前に今日子からの着信が・・・! たかが1件の着信履歴が、これほどまでに心強く感じられるとは。
取り急ぎ折り返すと、当たり前ながら『 もしもしぃ? 』と暫くぶりの聴き慣れた声が。どうやら自身は日帰りで既に現地を離れたものの、陽が墜ちても到着しないmotoを気遣って電話を掛けてくれた様だ。何とも心温まる話である・・・
聞けば、日中に現地入りした面々も入口が分かりづらいと口を揃えたらしく、“ セブンイレ○ンの暫く先にある目立たない看板を右折 ”(笑)という、実に有益な情報をこの通話がもたらしてくれた。


(♪ BGM : “THE LONELIEST ROAD IN AMERICA” by.PRAY FOR RAIN ♪)


再び疾走りだし、件の“ 目立たない看板 ”を曲がった後も、想像より大分長い距離を登ってそれらしき場所に到達。いしちゃん号S−XRをそこに発見し、ようやくここが目的地であると確信するに至った。

まだ目の慣れぬ暗闇の向こうから聴こえる、HD1さんの呼ぶ声を頼りに坂道を上っていくと、先着のノビン氏、いしちゃん、検ちゃんらが暖かい火と共に出迎えてくれた。出発前に『 メチャクチャ寒いです、エスキモーばりの装備で来て下さい 』との脅しがいしちゃんから入っていたのだが、傍らの火のせいか現時点でそれほどの寒さは感じられない。しかし予想よりも現地入りが遅れた為、期待していた露天風呂は残念ながら営業時間外に。HD1さんが淹れてくれた駆け付け一杯のコーヒーで、冷えた体を温める。


露天は閉まっているものの、トイレが脱衣場内にあるがゆえに夜間も施錠されていない風呂場の暖簾を潜る。そこに唐突に飾られた少々気の早いクリスマスツリーに、今年も残すところ僅かであるとふと気付かされた。


日帰りのHD1さんがユーノス・ロードスターで走り去った後も、火は赤々と燃え続ける。気付くと他の面々の様子がおかしい、酒も食い物も雑談も二の次、あたかも炎に取り憑かれたかの様に、薪を燃やし尽す事以外の全てを意に介さない。もはやキャンプサイトの傍らに火があるのではない、ただ男達が炎に群がっているだけだ。

夜が一層と更けてからも男達の妄執が醒めやる事は無く、ここまでの経緯を知らず途中から合流したmotoは独り取り残された感を拭えない。酔いも手伝って、日付が変わる頃には鈍い眠気に襲われたのだが、炎に憑かれた男達はどうやら睡魔さえも寄せ付けぬ様だ。結局、拝火教の儀式にも似た狂宴は丑三つ時を廻るまで続いた・・・


しかし正念場はここからである。今宵の寝ぐら、バンガローの中は炎の暖かさとは無縁、深々と冷え込んでいた。先程までの熱狂は何処へやら、一同寝袋の中に縮こまり、即座に沈黙する。消灯後約3秒でノビン氏が奏で始めた高らかなイビキは、流石に冗談かと思ったのだが本気であった。かく言うmotoも寝付きはかなり良い方だ、恐らくは後を追うことせいぜい1分弱で、すんなり意識を喪失った。


11月24日、7:30am。東の窓から眩しく射し込む朝の光が、容赦なくmotoの目を醒ます。周りを見廻すが、昨夜の炎に精気を吸い尽くされたのか、まだ皆は深い眠りの中だ。独りで起きても面白くもない、ましてや外はまだ朝の冷気に包まれている。暫くボンヤリと寝袋に包まっていたのだが、やがて遠くから耳慣れた2気筒の排気音が微かに耳に届く。


もとより2日目の朝に顔出し予定だったbabe君が、FLTRで紅葉のアーチを潜って来る。ガッタゴト氏のXRも一緒である。にわかに周囲が騒がしくなり、バンガロー内の一同も次々と寝袋から這い出してきた。時刻はもう既に8:30am過ぎである。昨夜は暗くて気付かなかったが、すっかり色付いた樹々が美しい。


2台3名からなる冷やかし組は、この場所を単なる休憩地点としてスケジュールに組み込んでいたらしい。ひとしきり談笑すると、2台は我々泊まり組を残し慌ただしく去って行った。皆の朝飯にと用意した切り餅はしっかり人数分あったのだが・・・ 
気を取り直して、心静かに寝醒めのコーヒーを淹れる。


これもやはり朝になってから気付いたのだが、敷地内には何とも有り難い御利益を謳う神が祀られた祠が在った。そう、この施設の名称はリッチ○ンド、もしやその名の由来はこれか・・・

男ノビン氏、福の神に何を祈る?


いよいよ満を持して、昨夜入浴しそびれた露天風呂へ。残念ながら湯は温泉ではないらしいが、造りとロケーションはなかなかだ。

・・・しかし風呂場の営業は10:00amから、施設のチェックアウトは11:00amまで(笑) ノンビリしたいのはやまやまなのだが、結局慌ただしく風呂から上がり、身の回り品とキャンプ道具を畳んで最後の記念撮影をする。バイク4台はパーティとしては小ぢんまりとしているが、集合写真のスケールとしては丁度良い。


リッ○ランドを後にし、そのまま解散というのも味気ないので定番スポットの宮ケ瀬へ。

12:00pm。陽も気温もすっかり高くなり、実に良い天気である。駐車場は様々なクルマとバイクでごった返していたが、何にも増して多かったのは100台規模の旧車會であった。まあだからどうという事もないので、特に観察もせず釜揚げうどんをすする。


路上でノビン氏、いしちゃんの順に別れ、残る検ちゃんと2台で東名を上り帰路に就く。
いしちゃん推奨の“ エスキモーばりの装備 ”が仇となり、実を言えばもはや暑くてどうしようもないのだが、革ジャンやオーバーオールはそうそう脱ぐワケにもいかない。結果、検ちゃんと別れた東名・東京ICからすぐの首都高・用賀PAでパーカーとロンTを脱ぎ、革上下にウィンターグローブ、なのに中はTシャツ1枚というアンバランスな出で立ちで帰宅する羽目になった。


昨夜の出発前に装着した、ロックハートのコアカバーも結局取り外す。もう11月も終わろうというのに、鋳鉄ヘッドの季節はまだその幕を開けたばかりか・・・



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